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自己破産をすると市営住宅に住んでいる人は、そのまま住み続けることができるのでしょうか。

或いは、そこを追い出されることになってしまうのでしょうか。

ここでは、自己破産をした場合の市営住宅に与える影響について解説をしていきます。

この記事を書いた人

借金減額研究家 ケンジ

以前、法律事務所で仕事をしていた立場から、借金問題や債務整理に関する記事を1000記事以上書いてきたライターです。

自己破産をしても市営住宅に残れる?

まず、結論からお伝えすると、自己破産をしても市営住宅から追い出されることは原則としてありません

なぜなら、市営住宅から強制退去させられる条件の中に、自己破産をしたかどうかという点は含まれていないからです。

逆に、市営住宅は、収入が少なく、生活に困った人を助けるために提供されているものです。

ですから、自己破産をしたからといって、市営住宅側がその人を追い出すようなことをすると、それは市営住宅の理念に背くことになってしまうことになります。

自己破産をする場合、所有している財産が多いと、手放すものが多くなってしまいますが、元々、収入も低く、財産も持っていない場合は、自己破産のデメリットはより少なくなっていきます

また、自己破産を覚悟していても、実際は、任意整理など自己破産以外の手続きで、借金問題を解決できる場合もあるので、まずは気軽に弁護士や司法書士に相談をしてみてください。

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市営住宅を追い出される条件とは?

では、逆に、市営住宅を追い出される条件とは、どういったものなのでしょうか。

家賃を滞納した場合

市営住宅側は、自己破産をした人に対して、追い出すようなことはしませんが、家賃を滞納した人に対しては厳しいです

一見、矛盾しているようにも見えますが、自己破産は、国が認めている合法的な手続きであるのに対し、家賃を滞納することは、明らかなルール違反なので、その点は、まったく性質が異なります。

もちろん、市営住宅を管轄しているところによっても、期間は異なりますが、一般的に市営住宅の家賃を3ヶ月以上、滞納したら、強制退去になると言われています

例えば、川崎市の市営住宅に関しては、以下のようにルールが定められています。

3か月以上使用料を滞納した場合
川崎市営住宅条例(第25条第1項第3号)に基づく住宅明渡しの対象者となり、事情によっては住宅を退去していただくことになります。退去されない場合、裁判所を通じて建物の明渡しを求めるなど厳しく対応します。また、滞納使用料等についても裁判所を通じて請求することがあるほか、連帯保証人に対しても支払いを請求することになります。

ただ、市営住宅に住んでいる人にとって、生活が厳しいのは、ある意味、当たり前のことですよね。

ですから、やむを得ない事情で滞納をしてしまった場合、事前に相談すれば、必要に応じて分割納付にしてもらうなど、柔軟に対応をしてもらえる可能性は高いです

そういった意味でも、滞納をしている方は、早めに担当窓口に相談されることをお勧めいたします。

また、市営住宅の家賃を滞納した状態で、自己破産をした場合、家賃の滞納分は、免責の対象となりますが、滞納した事実は残り続けるため、その場合も、強制退去ということになります

この点に関しては、弁護士の方も以下のような見解を出しています。

家賃について破産して支払を免れることはできますが,家賃滞納の事実は消えないので,契約解除,退去させられます。

市営住宅を追い出された人が、一般の賃貸に住むことは、大変だと思いますので、市営住宅の滞納分は、優先して、解消しておかれることをお勧めいたします。

収入が一定の基準を超えた場合

市営住宅を出なければならなくなるもう一つの条件として、収入が上がった場合というのがあります。

市営住宅に住み始めて、3年間ぐらいは、問題ありませんが、3年以上居住して、月額所得が、政令の定める基準を超えている場合は、収入超過者と見なされ、住宅を引き渡す努力をする義務が発生します

そして、さらに5年以上居住して、直近の2年の収入が、政令で定められた基準を超えると、高額所得者と見なされ、市から期限を定めた上で、住宅の明け渡し請求が来ます

市で定められた収入の基準は、場所によって変わりますが、全体の流れについては、どこも同じです。

ただ、収入が上がっているのであれば、これは、ある意味、喜ばしいことなので、前向きにとらえても良いかと思います。

自己破産をした後でも市営住宅に入れる?

その一方で、今は、市営住宅に入っていなくて、自己破産をした後、市営住宅に申込みたいと思っている方もいらっしゃるかと思います。

その場合、自己破産をした過去を持っていると、市営住宅に入るのは、難しくなってしまうのではないかと心配してしまうかもしれません。

しかし、自己破産をしていたかどうかは、市営住宅の申し込みをする際は、一切問われません

市営住宅に申し込めるかどうかは、基本的に収入によって決まります。

ただ、実際に市営住宅に入る場合は、当然、空きの状況によっても確率は大きく異なってきます。

また、市営住宅に申し込むには、日程が決まっていますし、最後は、希望者の中から、抽選で入居者を決めることになります。

自己破産をしていたからといって、市営住宅に入れなくなることはありませんが、だからといって、市営住宅に入れる確率が上がるわけでもないので、その点は、事前に理解しておく必要があります。

まとめ

現在、市営住宅に住んでいる方が、自己破産をする場合、市営住宅を追い出されるのはないかと心配になるかもしれません。

しかし、自己破産をしても、市営住宅を追い出せることは、原則としてありません。

ただ、もし、市営住宅の家賃を滞納している場合は、自己破産をすると、滞納分が免責となる代わりに、強制退去を命じられる可能性が高いのでご注意ください。

あと、自己破産をした後に、市営住宅に申し込む場合も、自己破産をしたことが、市営住宅に入ることを妨げるわけでもないので、その点では、ご安心ください。