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個人再生は、住宅ローンの返済が残っていても、住宅ローン以外の借金を減額することができる手続きですが、「万が一、失敗をしたらどうしよう?」と考える方もいらっしゃいますよね。
そこで、この記事では、実際に個人再生の手続きで失敗した方の体験談をご紹介しながら、実際にどういったパターンで失敗をする可能性があるのか徹底的に解説をしていきます。
目次
個人再生の失敗の体験談
個人再生を失敗した体験談を募集したところ、20代の時に浪費やギャンブルで約600万円程度の借金をしてしまい、個人再生することになったけれども、結果的に失敗をしてしまったという方からエピソードを寄せていただきました。そこで、ここからは、その方の失敗の体験談をお伝えしていきます。
給料が上がらずリボ払いに手を染める
私は、高校を卒業後、アパレル会社で働くことになりました。小さなアパレル会社だったため、1年ほど働いてすぐに店長に抜擢されることになったんですね。その後も順調に進んでいき、複数の店舗を統括していく立場となりました。しかし、現実は責任だけ押し付けられているだけで給料は全く上がることはなかったのです。
とは言うものの、一応、店長もしくは複数の店舗を統括するリーダーの立場なので、アルバイトや店長などを連れてご飯を食べに連れて行ったり、自分のおごりで遊びに行ったりしていました。
その際、アパレル会社に就職してからは、すぐにクレジットカードを作っていたので、支払いはカードで支払うことが多々あったんですね。そのため、「今月使い過ぎたな」と思った時は、一括払いだった請求をリボ払いに変更して、支払いを先延ばしにすることがよくありました。そこから私は次第にリボ払いにハマっていくようになっていったのです。
気が付けば借金600万円
クレジットカードを3枚ほど持っていたのですが、どのカードも気が付いた時にはリボ払いでショッピング枠が上限限度額に達していました。そのため、カードは使えないと思った私は、次に消費者金融へ手を出すようになっていきます。
そして、複数の消費者金融に借り入れしている内に、大手の消費者金融からは借り入れができなくなってしまいました。そこで、中小消費者金融やヤミ金と呼ばれる金貸しまで手を出すようになったのです。ただ、気が付いた時にはクレジットカードのリボ払いもいれて約600万円ほどまで膨れ上がっていました。
アパレル会社へ勤めて5年ほど経ちましたが、責任のある仕事ばかりを押し付けられるようになっており、給料もなかなか上がりません、給料が上がらないので、支払いの方はどんどん追い込まれていき、返済だけで毎月20万円以上になってしまいました。
個人再生をやってみたものの…
「どうしたらいいのか」と弁護士の友人に相談したところ、アドバイスしてくれたのが「個人再生」でした。そして、その友人は「自分の働いている弁護士事務所を紹介するから個人再生をしよう」と話を持ちかけてくれたのです。個人再生することによりクレジットカードが作れなくなったり、お金を借り入れすることができなくなったりするなどデメリットもあることに少し悩みましたが、借金を大幅に減らせるという話を聞いて、個人再生の手続きを行なうことになりました。
しかし、この個人再生の手続きが最終的には失敗することになります。友人が紹介してくれた弁護士が担当になってくれ、個人再生で借金を約600万円から約400万円にまで減額してくれ、月々の返済額も20万円から10万円まで支払いを落とすことができました。そして「これなら生活できる」とその時は安心したんですね。
ただ、個人再生したことにより自分が考えていたデメリットが、自分の首を締め付けることになってきます。クレジットカードや消費者金融からの借り入れができなくなってしまったので、アパレル会社で働いている毎月収入の範囲で生活しないといけなくなりました。実際、毎月の返済10万円を支払って生活していくのも厳しい状況だったのです。
しかし、今までしてきた会社での立場は変わりませんでしたし、アルバイトや店長などを誘ってご飯や遊びに行くことは回数は減りましたが、それでも最低限の頻度では行かざるを得なかったので、すぐにお金が足りなくなってしまいます。
個人再生したことにより、クレジットカードや消費者金融にお金を借り入れすることができなくなってしまったことは正直、本当にキツかったです。会社から貰える収入の現金のみで生活をしなければならなかったので、余計に苦しく、ストレスも溜まり爆発してしまいそうでした。
個人再生から自己破産への切り替え
そのことをもう一度弁護士の友人に相談すると、「じゃあ、自己破産してしまおう」と言われ、その方が自分も楽になれるならと思い、結果的に自己破産することにしました。
個人再生をすると借金が減額され、毎月の支払額が減ったので、そういった意味では良かったです。しかし、クレジットカードや消費者金融から借り入れできなくなってしまい、逆に生活が苦しくなってしまったので、今考えたら「個人再生したのは失敗だったな」と感じています。
今では自己破産して、毎月返済していた額が生活費に回るようになったので、生活が上手くいくようになりました。同じクレジットカードや消費者金融からの借り入れはできないため、生活が苦しい時もあります。ただ、借金漬けになっていた時や個人再生した時よりも良くなったので、このままがんばっていきたいと思っています。
個人再生で失敗する原因とは?
今回、体験談を寄せていただいた方は、個人再生後の返済がうまくできなかったというのが失敗の原因でした。また、この点も含めて、個人再生を行なう場合は、以下のような原因で失敗をしてしまう可能性があります。
再生計画案の提出期限が間に合わなかった
個人再生の手続きを行なう際は、申立てを行なってから、3~4ヶ月以内に再生計画案を提出する必要があります。ただ、期限内に書類を提出できなければ、そのまま個人再生の申し立ては棄却されてしまいます。
実際、弁護士を通じて手続きを行なえば、このようなことが起こる可能性は少ないかもしれませんが、個人再生で準備をすべき書類はかなり複雑なので、気を付ける必要はあります。
財産隠しなど嘘をついた
個人再生で、小規模個人再生を選択すると、最終的な弁済額を決定する際、清算価値といって、自由財産を除いた債権者名義の財産を換価処分して得られる金額が、借金の総額を基準として決まる最低弁済額よりも大きい時は、清算価値がそのまま弁済額になります。
そのため、清算価値が高額になりそうなことが分かると、財産を隠して申告しようとする人が出てくる場合があります。しかし、そのことがバレると個人再生の手続きが棄却され、失敗をすることになってしまいます。
特定の債権者への返済を優先した
個人再生では、原則として住宅ローン以外のすべての債務を手続きの対象にする必要があります。しかし、そこで迷惑をかけたくない債権者がいるからといって、債権者の一覧表から外したり、優先して返済をしたりすると、債権者平等の原則に反してしまうため個人再生が認められずに失敗をしてしまうことがあります。
ちなみに、一部の債権者に優先して返済することを偏頗弁済と言いますが、その点については以下の記事で詳しく解説をしています。
>>個人再生における偏頗弁済するとどうなる?いつからがNG?
一定以上の債権者が再生計画案に反対した
小規模個人再生の手続きを行なう際は、再生計画案を債権者に認めてもらう必要がありますが、そこで、
- 債権者の半数以上が反対した場合
- 再生計画案に同意しない債権者の債権総額が全体の2分の1を超えてしまった場合
は再生計画案が却下されてしまうため、個人再生が失敗する確率が出てきます。
履行テストで失敗をした
個人再生の申し立てを行なった後、今後、しっかり返済ができるかどうかチェックするために履行テストが行われます。この履行テストは、再生委員の銀行口座(再生委員が指定されない場合は自分で作った新規の口座)に半月ほど、毎月返済を行なう形で行われます。
しかし、そこできちんと支払いができないと再生計画が認可されず、失敗する可能性があります。
返済ができなかった
仮に個人再生の手続き自体がうまく行ったとしても、その後、個人再生後の返済ができないと、最悪の場合は、再生計画認可決定が取り消されたり、債権者から裁判を起こされたりする可能性があります。
その場合は、支払い期間を延長するなどの対応ができる場合もありますが、中には今回の方のように自己破産に切り替える人もいます。
まとめ
個人再生の手続きは、弁護士によく相談しながら行なえば、そこまで大きく失敗することはありません。しかし、だからといって甘く見ていると思わぬところで失敗をしてしまう可能性があります。
ですから、個人再生を行なう際は、担当の弁護士ともよく相談をして、こちらの記事でご紹介する失敗のパターンにハマらないように注意しながら、進めていかれることをおすすめいたします。