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借金は名字が変われば踏み倒せるのでしょうか?
借金を返済しなければ、当然のことながら、債権者から、取り立ての連絡が来ます。
ただ、結婚や養子縁組をして、名字や住所が変われば、そういった取り立てや追跡をかわせるのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。
ここでは、法的な観点から整理すると共に、名字を変えるより、もっと適切な解決法についてお伝えしていきます。
目次
借金は名字が変われば踏み倒せる?
借金は名字が変われば踏み倒せるかという点に関してですが、結論からいうとできません。
旧姓の時の借金もしっかり追求されますし、養子縁組をしたからといって借金がリセットされるわけではありません。
その理由は、債権者は、以下のように2つのルートから、あなたを追跡することができるからです。
戸籍から名字を調べられる
結婚や養子縁組などで名字が変わった場合、その内容は、戸籍に記載されることになります。
戸籍の情報は、基本的には、第三者が見ることはありません。
しかし、戸籍法第10条の2第1項では、たとえ第三者であったとしても、戸籍謄本などを交付を請求できるということが明記されています。
前条第1項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
この法律に基づいて、債権者は、あなたの新しい名字を確認することができるのです。
住民票から住所を追跡される
結婚や養子縁組を行うと、名字だけでなく、住所も変わります。
住所が変われば、債権者から見ると、債務者の居場所が分からなくなり、取り立てを行うことができなくなるのではと思うかもしれません。
ただ、もし、あなたが住民票の異動届けを出して、新しい住所で転入届けが出されていれば、債権者は住民票を通じて、あなたの居場所を追跡することができます。
その権利は、住民基本台帳法第12条の3第1項で保障されています。
市町村長は、前二条の規定によるもののほか、当該市町村が備える住民基本台帳について、次に掲げる者から、住民票の写しで基礎証明事項(第7条第一号から第三号まで及び第六号から第八号までに掲げる事項をいう。以下この項及び第7項において同じ。)のみが表示されたもの又は住民票記載事項証明書で基礎証明事項に関するものが必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、当該申出をする者に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある者
三 前二号に掲げる者のほか、住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者
だったら、「住民票を異動しなければ良いのではないか」と思うかもしれません。
ただ、住民票を異動しなければ、
- 運転免許証の更新
- 印鑑証明書、所得証明書など各種証明書の発行
- 確定申告
- 福祉サービスの利用
- 選挙権の行使
などが、新しい住所でできなくなり、様々な支障が生じてしまいます。
借金を踏み倒すのはまず不可能
借金を踏み倒そうとした場合、銀行や消費者金融からの借金は、商法第522条によって、消滅時効の期間が5年と定められています。
しかし、以下の条件に該当すれば、消滅時効の期間がリセットされてしまいます。
- 確定判決が出た場合
- 強制執行や担保権の実行の手続きがされた場合
- 債務者が債務を承認した場合
つまり、債権者がその気になれば、消滅時効の期間は、いつでもリセットすることができるのです。
ですから、名字を変えていようと、変えていまいと、踏み倒しができる可能性はほとんど変わりません。
つまり、消滅時効の期間を迎えるまで、逃げ切るのは、ほぼ不可能だと言って良いのです。
名字が変わったらローンが通るわけではない
名字が変わっても借金の踏み倒しができるわけではありません。
また、同様に、ローンを組んだり、新たにお金ができたりするわけでもありません。
それは、以下のような理由があるからです。
名字以外の情報から本人が特定されてしまう
ローンを組もうとする際は、金融機関の審査を受ける必要があります。
審査の際は、信用情報機関の情報が照会されますが、信用情報機関には、以前、あなたがお金を借りたり、クレジットカードを作成したりした際、あなたを特定するための情報として、以下の内容が登録されています。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- 勤務先
- 勤務先電話番号
- 運転免許証等の記載番号等
つまり、名字が変わっても、それ以外の情報から本人を特定することは十分可能なのです。
また、金融機関に申し込みをする際は、旧姓を書く欄があるなど、本人を特定するためのルールは厳格化されています。
ですから、そんな簡単に別人物として、審査を受けられるわけではないのです。
スーパーホワイトは、審査に通りづらい
ただ、そういった審査をうまくくぐり抜けて、銀行や消費者金融に別人物として、認識されたとしましょう。
しかし、そこで、あなたが、スーパーホワイトとして認識されてしまうという別の問題が発生してしまいます。
スーパーホワイトとは、過去にローンを組んだり、お金を借りたりしたことがなく、クレジットカードの利用履歴も一切ないという人のことを指します。
つまり、過去の履歴が綺麗すぎて逆に怪しまれてしまうというパターンです。
ですから、いずれにせよ、名字が変わったからといって、それまで審査で落ちていた人が、いきなりローンを組めるようになったり、お金を借りられるようになったりすることはないのです。
名字を変えずに借金の負担を減らせる方法
一言で言ってしまうと、名字を変えて借金を踏み倒したり、リセットしたりしようとすることは、骨折り損のくたびれ儲けに終わる可能性が非常に高いです。
そんなことをするよりは、地道にコツコツ返済をしていった方が遥かにマシです。
ただ、それでもやはり、借金を返済するのが厳しいという方は、弁護士や司法書士を通じて、債務整理の手続を行うことをお勧めいたします。
債務整理の手続きを行えば、
- 任意整理:将来的にかかる利息をカットして、残債を3年~5年で分割返済することも可能
- 個人再生:住宅ローン以外の借金を約5分の1に減額して、残債を3年~5年で分割返済する
- 自己破産:原則として、すべての借金を免責にしてもらえる
という形で、借金の負担を減らすことができるからです。
実際にあなたの返済総額をどれくらい減らせる可能性があるかは以下の方法で簡単に診断することが可能です。
まとめ
結婚や養子縁組で名字が変わると、社会的に別人物として認識されるようになって、それまでの借金がリセットされたり、また、新たにローンを組めるようになったりすると思うかもしれません。
しかし、現実はそんなに甘くはありません。
名字が変わっても、以前の借金はそのまま重くのしかかったままです。
ただ、借金の返済がどうしても難しい場合は、債務整理で解決してしまうという方法もあります。
ですから、一度、視野を広げて、考えてみるのは、いかがでしょうか。