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個人再生の手続きを行なう場合も、偏頗弁済が問題になることがあります。
個人再生の場合、自己破産に比べると、偏頗弁済を行った時のリスクは、まだ低いのですが、具体的にどのように対応していけば良いのか、解説をしていきます。
個人再生で偏頗弁済をするとどうなる?
偏頗弁済とは、一部の債権者に対して優先して返済を行なうことです。
個人再生では、住宅ローンのみ、住宅ローン特則を利用することによって、債務整理の対象から外すことが可能です。
ただ、それ以外の借金は原則として全て対象としなければなりません。
そのため、個人再生前に特定の債権者だけに返済することは、債権者平等の原則に反することになり、偏頗弁済だと見なされます。
(住宅ローン特則を利用した場合は、そのまま返済を続けても偏頗弁済にはなりません)
個人再生で偏頗弁済をしたと見なされた場合、個人再生前に返済した金額が清算価値にプラスされます。
清算価値とは、債務者が所有している財産を換価した場合の総額です。
個人再生では、債務の金額に応じて最低弁済額が設定されます(約5分の1)が、清算価値が最低弁済額を上回れば、弁済額を清算価値に合わせなければなりません。
これを清算価値保障原則と呼びます。
偏頗弁済をすると、元々、清算価値になるはずであった財産が減少するため、それを元に戻さないと再生計画案は不認可という話になってしまうのです。
個人再生で減額されない債権の支払いは!?
しかし、その一方で、債権の中には減額されないものもあります。
そのような債権は、個人再生の手続きと関係なく弁済をしても偏頗弁済と見なされないのではと思われるかもしれません。
ただ、この点に関しては債権の種類によって対応が変わります。
まず、
- 一般優先債権(税金、保険料)
- 共益債権(将来の養育費)
は、再生手続きと関係なく支払いを続ける必要があります。
ただ、その一方で、以下のように非減免債権とされるものは、減額はされないものの、再生債権の一部として申告するため、個人再生の手続き中は支払いが禁止されています。
- 再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 再生債務者が故意又は重過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- 養育費請求権を含む再生債務者の扶養義務等の請求権
実際、どの債権をどのタイミングで支払っていくかは複雑な部分もありますので、弁護士や司法書士に相談しながら進めるようにして下さい。
個人再生の偏頗弁済はいつから?
個人再生前の返済が偏頗弁済と見なされる時期は、基本的に弁護士や司法書士へ個人再生の手続きの依頼をして、受任通知が債権者に対して送られた後となります。
ですから、受任通知が送られた後は、原則としてすべての返済をストップする必要があります。
所有しているクレジットカードに関しては原則として利用しないことがベストです。
公共料金や携帯電話の利用代金がクレジットカード払いになっている場合は、口座引落しに切り替えておく必要があります。
ただし、引き落とし先の銀行口座が、個人再生の対象となる銀行となっている場合(その銀行のカードローンを作っているような場合)は、受任通知が送られた段階で口座が凍結されるため、別の口座に指定する必要があります。
また、人によっては、複数のクレジットカードを所有していて、残高が少額の場合もありますが、その分は、受任通知を出す前までに支払いをすべて終えることが望ましいです。
なぜなら、少額でも残高が残っていると、個人再生の対象となりますし、対象にすると、個人再生の手続き後、信用情報機関から事故情報が消えた後も、その会社ではクレジットカードを作れなくなってしまう可能性が高くなるからです。
個人再生前の返済は弁護士に相談を
個人再生前に返済をしないというのは簡単に見えますが、実際には、以下のような状況によって判断が難しくなるケースがあります。
- 家賃や携帯電話など、生活に必要なもので滞納がある分を事前に支払う際、いくらまでが偏頗弁済と見なされないか判断する場合
- 手元にお金がなくて、生活費が足らず、クレジットカードを使うべきか判断に迷う時
- 受任通知後、再生手続開始決定が出るまでの間に、一部の債権者が給与の差し押さ手続きを行なうようなケース
ですから、個人再生前に返済やクレジットカードの支払いが発生する場合は、必ず、債務整理を依頼する弁護士などに相談をしながら進めていくようにして下さい。