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ネット銀行 差し押さえ 難しい

借金の返済ができず、いよいよ銀行口座が差し押さえをされるかという時、「もしかしたら、ネット銀行なら差し押さえられないのでは!?」と思う方がいらっしゃいます。

ネット銀行の場合、差し押さえの手続き上の問題から、差し押さえをするのは難しいのではないかと言われているのですが、実際のところ、どうなのでしょうか。

そこで、この記事では、ネット銀行が差し押さえるかどうかの可否と具体的な対処法について詳しく解説をしていきます。

この記事を書いた人

借金減額研究家 ケンジ

以前、法律事務所で仕事をしていた立場から、借金問題や債務整理に関する記事を1000記事以上書いてきたライターです。

ネット銀行の差し押さえは難しいと言われる理由

そもそも、なぜネット銀行の差し押さえは難しいと言われているのでしょうか?その理由は、ネット銀行には実店舗ばないからです。

ネット銀行と言えば、PayPay銀行、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、GMOあおぞらネット銀行などがありますよね。こういったネット銀行は、実店舗ではなく、バーチャル支店(インターネット支店)なので、支店名が分かりづらいところがあります。

差し押さえをする場合、銀行名だけでなく、支店名も明記するというのが原則なので、支店名が曖昧な分、ネット銀行では差し押さえられないのではという話があったのです。

ネット銀行は差し押さえられないわけではない

確かに、以前は、ネット銀行だと差し押さえをされにくいケースがあったかもしれません。しかし、現在は、ネット銀行でも差し押さえられてしまいます

ここには、社会システムに裁判システムが対応できるようになってきたという背景がありますが、具体的には2つの理由が挙げられます。

  • 支店が分からなくても差し押さえは可能だから
  • 財産開示請求が強化されたから

それぞれの理由について詳しく解説していきますね。

支店が分からなくても差し押さえは可能

差し押さえをする場合、銀行名だけでなく、支店名も必要だということは、最高裁判所の平成23年(西暦2011年)9月20日の判決で出されています。

裁判所としては、支店名が分からなければ、差押先の特定に時間が掛かってしまうのではダメだという考え方があったわけです。

しかし、実店舗を持たないインターネット専業銀行の場合、実務上は支店の特定は不要として運用されてきたという話もあります。

また、新日本法規が出している銀行預金の差し押さえに必要な書類のサンプルへの注意書きに以下のようなものがあります。

インターネット銀行の口座(ヴァーチャル口座)を差し押さえる場合の第三債務者の表示については,債務者名義の口座の番号が判明している場合には,支店を特定せずに「株式会社〇〇銀行」と記載すれば足りますが,口座番号が不明の場合は,「株式会社〇〇銀行インターネット支店」などと支店名(登記されている場合もあります。)を記載する必要がある銀行と支店の特定を要しない銀行(インターネットのみで営業している銀行に多いです。)があります。

簡単にいうと、ネット銀行においては、

  • 口座番号が分かる場合:銀行名だけでOK
  • 口座番号が分からない場合:インターネットのみで営業している銀行であれば、支店の特定は必要としない

というようになるのです。

財産開示請求が強化された

もう一つの観点として、民事執行法の改正によって、債権者が財産開示請求をする場合の権限が強化されたという点が挙げられます。

元々、財産開示請求は、平成15年(2003年)に民事執行法が改正された際に導入されました。そして、2020年4月に、民事執行法が改正された際は、財産開示請求ができる人の範囲が拡がり、さらに、この請求に対して、正当な理由もなく対応を怠った場合の罰則も強化されました

(詳細に関しては、こちらの記事をご覧ください)

ですから、ネット銀行は、債権者から財産開示請求を徹底的にされれば、応じざるを得ない状況になっているのす。

このように、ネット銀行という新しいサービスに対して、社会のシステムも確実に対応できるように変わってきています。そのため、ネット銀行は差し押さえられないということは実質的にあり得ないのです。

ネット銀行の差し押さえられたらどうなる?

ネット銀行に限らず、銀行が差し押さえられた場合、銀行口座内にある預金のみが差し押さえの対象となります。そして、通帳には、「サシオサエ」という文字が記帳されてしまいます。また、差し押さえられたお金は代位弁済という形で債権者への債務の返済に充てられてしまうのです。

ただ、ネット銀行が差し押さえられたとしても、差し押さえが行われた後に、入金されたお金に関しては、差し押さえの対象外となります。そのため、差し押さえられた金額以外の分に関しては、入出金などの取引が可能です。

しかし、一度の差し押さえで、債権者が債権を回収しきれなかった場合、二回目以降の差し押さえが行われる可能性が出てくるので、早めに借金問題を解決することに越したことはありません。

ネット銀行の差し押さえ対策は?

もし、借金の返済ができず、ネット銀行が差し押さえられそうになりそうな場合、具体的にどのような対処法があるのでしょうか。例えば、以下のような方法を考える人がいます。

  • 家族の口座にお金を移す
  • お金を引き出して残高をゼロにしておく
  • 債権者に知られていない銀行口座を使う

ただ、この方法は本質的な解決にならないだけでなく、刑法第96条の2で定めらた「強制執行を妨害する目的で財産を隠匿した」という内容に該当し、3年以下の拘禁刑、または250万円以下の罰金に科せらる、あるいは併科されてしまうというリスクが発生します。

そのため、根本的な問題を解決するには、弁護士や司法書士を通じて、債務整理の手続きを行なうことをおすすめいたします。債務整理には以下の3種類があります。

  • 任意整理:将来的にかかる利息をカットし、残債を3年~5年で分割返済するよう和解する
  • 個人再生:住宅ローン以外の債務を約5分の1に減額することも可能
  • 自己破産:すべての借金を原則、免責にしてもらう

ネット銀行の差し押さえられる前であれば、上記のいずれの方法でもご自身の合ったやり方で借金問題を解決することが可能です。また、万が一、ネット銀行が差し押さえに遭った場合でも、個人再生や自己破産であれば、差し押さえの状態を解除することができます。

ただ、ネット銀行が差し押さえられる前に対応を行なった方が、複雑な問題になることを防ぐことができます。ですから、もし、差し押さえのリスクがあると感じている方は、できるだけ早く法律の専門家に相談されることをおすすめいたします。

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まとめ

ネット銀行は差し押さえられないという話は、ネット銀行が出てきたころ、差し押さえの手続き上の問題から難しいのではないかと言われたりもしましたが、現状においては、解釈も柔軟に変更されたため、借金の返済ができない場合、たとえネット銀行であったとしても、差し押さえの対象になることは十分に考えられます。

また、差し押さえのリスクが生じた際、下手に財産を隠そうとすると刑法に引っかかってしまう場合があります。ですから、ネット銀行が差し押さえられそうになった場合は、債務整理を行なうことを通じて、借金問題そのものを根本的に解決してしまうことをおすすめいたします。