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個人再生は、住宅ローンを守りながら、借金を減額できるという大きなメリットがあります。

しかし、その一方で、持ち家があるけれども住宅ローンなしの人や、住宅ローンがあるけれどもアンダーローンの人は注意が必要です。

ここでは、その場合のリスクや対処法についてお伝えしていきます。

この記事を書いた人

借金減額研究家 ケンジ

以前、法律事務所で仕事をしていた立場から、借金問題や債務整理に関する記事を1000記事以上書いてきたライターです。

個人再生で住宅ローンなしの場合の問題点

個人再生を行った場合、既にローンを完済した家は、強制的に売却を迫られることはありません。

しかし、住宅の査定額によっては、個人再生の手続きを行なうのが難しくなってしまう可能性があります。

その理由は、住宅の査定で出された資産価値は、清算価値(所有している財産を換価した金額)にプラスされ、弁済額が上がってしまうからです。

個人再生では、原則として借金が約5分の1に減額されるというメリットがあります。

しかし、そこで出された弁済額よりも、清算価値が上回る場合は、清算価値保障の原則から、清算価値の金額に弁済額を合わせなければなりません。

例えば、もし、住宅ローンの査定額が1,000万円であれば、弁済額は1,000万円以上となるので、返済が難しくなる可能性は高くなってしまうでしょう。

個人再生で家の査定を安くすることは可能?

個人再生で持ち家があってローンなしの場合は、家の査定額が個人再生での手続きを可能となるか左右するポイントとなってきます。

査定金額を安くしたら、清算価値が下がり、弁済額も下がりやすくなるからです。

ですから、査定を出してもらうのは、一般の不動産会社よりも、破産物件の処理に慣れた業者に依頼した方が良いという話もあります。

いずれにせよ、査定をしてもらう業者には、より高く売れた場合の査定額でははく、現時点で売却をした場合の現実的な金額を出してもらうことが大切です。

また、査定を依頼する際には、個人再生を担当する弁護士などに相談することをお勧めいたします。

>>個人再生に強い法律事務所&相談所

持ち家なしの場合の個人再生について

住宅ローンなしでも持ち家の場合は、家の価値によって清算価値が上がることはありません。

また、賃貸物件に住んでいる場合は、滞納さえしていなければ、賃貸契約を解除されることもありません

家賃の滞納がある場合は要注意

ただ、家賃の滞納があった場合は、その分が個人再生の整理の対象となるため、賃貸契約解除のリスクが生じます

また、滞納分だけを個人再生の手続きの直前に支払った場合は偏頗弁済と見なされ、弁済額が上がる場合もあるので、ご注意下さい。

>>個人再生で家賃や光熱費の滞納分はどうなる?

オーバーローンとアンダーローンでの違い

住宅ローンの返済が残っている場合でも、オーバーローンかアンダーローンかによって状況は変わって来ます。

  • オーバーローン:住宅ローンの残債が住宅の資産価値を上回る状態
  • アンダーローン:住宅ローンの残債が住宅の資産価値を下回る状態

オーバーローンの場合は、家に関して、実質、財産を持っていないことになるので問題はありません。

住宅資金特別条項の要件を満たしていれば、住宅ローン特則を利用することによって、住宅ローンの返済を続けながら、それ以外の借金を減額することができます

しかし、アンダーローンの場合は、実質的に財産を所有していることになるので、その分は清算価値にプラスしなければなりません。

そうすると、住宅ローンなしの場合と同じような問題が生じてしまうのです。

共有不動産である場合の清算価値について

個人再生を行う際、自宅が共有不動産になっている場合はどうなるのでしょうか?

この点に関しては、弁護士から以下のような見解があります。

東京地裁破産再生部での扱いだと以下のとおりになると思います。

個人再生における不動産の清算価値の算定においては,住宅の時価×持ち分割合-ローン残高×持ち分割合

つまり、夫婦で半分ずつ持ち分があった場合、住宅の査定額が2,000万円で、ローンが1,200万円残っていた場合、清算価値は、

2,000万円 X 0.5 – 1,200万円 X 0.5 = 400万円

ということになります。

住宅ローンなしやアンダーローンの場合の対処法

もし、住宅ローンなしで、持ち家もない場合は、今の借金を約5分の1に減らした金額がそのまま弁済額になる可能性が高いので、個人再生の手続きはうまくいきやすいでしょう。

しかし、持ち家がある場合で、住宅ローンなしやアンダーローンの場合は、問題が生じてしまいやすくなります。

もし、弁済額が上がってしまうことを避けたい場合は、住宅を売却して、そこで得たお金を借金の返済に充てた上で、残債を債務整理の対象にするというのも一つの選択肢となってきます。

ただ、やはり持ち家を手放すことは何としてでも避けたいという方もいらっしゃるかと思います。

そういった場合は、個人再生ではなく任意整理の手続きを行なうことによって、借金問題の解決が可能か検討してみると良いでしょう。

任意整理が可能かどうかは、今の借金をどれだけ減らせるかによっても左右されますので、以下の減額診断で一度、チェックしてみて下さい。

任意整理の手続きは、整理の対象にする借金を選べますし、所有している財産が返済額に影響を与えることは一切ないからです。

もし、過去に利息を払い過ぎていて、過払い金が発生していたりすれば、任意整理の手続きでも対応は可能となってくるので、まずは、法律の専門家に相談されてみることをお勧めいたします。