自己破産 奨学金 連帯保証人

もし、自己破産をした際、奨学金の返済が残っていて、かつ親が連帯保証人になっている場合、親に対する請求はどうなってしまうのでしょうか。

その際は、分割払いが可能なのでしょうか、それとも一括請求がされてしまうのでしょうか。

ここでは、自己破産をした後の連帯保証人、そして保証人への請求の問題と、具体的な対応策について解説をしていきます。

連帯保証人は分割払いが可能?それとも一括請求?

奨学金の残債が残っている人が、自己破産をした場合、奨学金の支払いは免責になります。

しかし、免責された分に関しては、全額が、連帯保証人に対して請求されてしまいます

では、その場合の支払い方法はどうなるのでしょうか。

基本は一括請求だけれども分割払いの交渉も可能

奨学金があるのに自己破産をした場合、連帯保証に対しては、最初、残債を一括請求されます

これは、奨学金を利用している本人が、既に期限の利益を失っているためです。

ただ、一括請求をされても、債権者である日本学生支援機構と交渉すれば、以下のように、原則として、分割払いに変更してもらうことが可能だと言う弁護士は多いです

奨学金を借りた本人が債務整理を行った場合、保証人は奨学金事業者から一括請求を求められます。
ただし、分割返済の交渉は可能です。
実際に、日本学生支援機構は原則として保証人からの分割返済の申し入れに応じてくれるようです。

連帯保証人となっている親の中には、事情が分かっていない場合、日本学生支援機構から、一括請求の話が来ると、慌ててしまい、他の金融機関から、高い金利でお金を借りて、奨学金の返済に回そうとするケースもあります。

ただ、日本学生支援機構との交渉によっては、分割払いに応じてもらう可能性も十分ありますし、奨学金の金利は、0.01%~0.1%と非常に低いので、まずは、分割払いが可能か、直接交渉することをおすすめいたします。

連帯保証人が債務整理をして分割返済をする場合も

ただ、その一方で、連帯保証人が、分割返済にしてもらう場合には、任意整理をする必要があるという弁護士事務所もあります。

本人が自己破産をすると,原則として保証人へは一括で請求がいくことになります。しかし,金額が高額であれば保証人は一括で返済することができない場合が多くなります。保証人が一括で返済できない場合には,保証人が任意整理をして分割で返済できるよう債権者と交渉する必要があります。

ただ、この場合は、日本学生支援機構と直接交渉をして、分割払いにしてもらうケースと違い、信用情報機関に事故情報が約5年間、登録されて、その期間中は、連帯保証人が、新たな借入れをすることができなくなってしまいます。

つまり、連帯保証人の信用情報を大きく傷つけてしまうことになるので、まずは、日本学生支援機構への直接交渉から始めていくことが大切です。

また、一括請求をされた連帯保証人の中には、任意整理ではなく、個人再生や自己破産を行うケースもありますが、そこで減額、または免責された分は、次に保証人が迷惑を被ることになります。

自己破産後の連帯保証人や保証人への請求の流れ

奨学金を申請する際に、人的保証制度を利用する場合、連帯保証人と保証人の両方が必要となります。

では、自己破産をした後、連帯保証人、そして保証人に対しては、どのような流れで請求が行くのでしょうか。

まずは連帯保証人、次に保証人

奨学金を申し込んだ本人が自己破産を行った場合、まずは、連帯保証人に対して請求がいきます。

連帯保証人は、文字通り、連帯して返還の責任を負う立場なので、奨学生本人が自己破産で返済不能になった場合、残債の100%が連帯保証人に対して請求されます

そこで連帯保証人が、返済をすることができれば良いのですが、もし、連帯保証人が支払いできなかった場合、次は、保証人に対して請求が行ってしまいます。

保証人に請求がされる場合の注意点

実は、保証人は連帯保証人と違って、返還すべき金額を、請求額の2分の1にすることができます

これは、保証人には「分別の利益」という権利(抗弁権)が認められているからです。

ただ、ここには、一つ落とし穴があります。

それは、日本学生支援機構は、保証人に対して請求する際、保証人には、「分別の利益」があることを伝えずに、まずは全額を請求するということです。

そして、保証人が「分別の利益」を知らずに、減額を支払ってしまうケースは非常に多いのです。

ちなみに、この点に関して、日本学生支援機構は、公式HPにて

  • 日本学生支援機構は「分別の利益に」ついて個別の説明を行うようなことはしていない。
  • 保証人が「分別の利益」を知らずに余分に返還してしまった場合、その分は、日本学生支援機構ではなく、「求償権」に基づき、奨学生本人か連帯保証人に対して請求するように決めっている。

という、かなり無責任とも言える見解を出しています

これは、非常にお役所的な対応だと言わざるを得ませんが、役所が決めたルールなので、後から文句を言っても、満足できる形で、応じてもらえない可能性が高いです。

ですから、奨学金を自己破産の対象にした場合は、連帯保証人に対する請求だけでなく、保証人に請求が行ってしまった場合の対応についても想定しながら、もし、そうなった場合は保証人に「分別の利益」が主張できることを早めに伝える必要があると言えます

連帯保証人に迷惑を掛けない方法

奨学金の返済途中で、自己破産をしようとしている人の中には、連帯保証人が親になっている場合、親に迷惑が掛かってしまうことを心配する方がいらっしゃいます。

では、そういった場合、連帯保証人に迷惑が掛からないようにするため、具体的には、どのような対処法があるのでしょうか。

自己破産後も連帯保証人への返済は可能

自己破産の手続きを行っている途中で、連帯保証人に対して、返済をすることはできません。

それは、債権者平等の原則に反してしまうからです。

ただ、自己破産で免責を受けた後に残った財産は、自由に使って良いですし、その後、入って来た収入の使い道に関しても制約を受けることはありません

ですから、その段階で、連帯保証人に対して、返還分を支払うという方法もあります。

もちろん、法的には、連帯保証人の支払い義務に対して、奨学生本人が責任を負う必要はありません。

しかし、道義的にそれが良くないと思った方は、連帯保証人に対して、任意で支払うのも良いかと思います。

任意整理で解決ができないか検討してみる

自己破産を検討している方の中には、借金の状況を調べてみると、実は自己破産ではなく、任意整理で解決できてしまうという方もいらっしゃいます。

任意整理であれば、整理の対象とす借金を選べるので、連帯保証人が付いた奨学金を整理の対象から外すことによって、迷惑を掛けずに済ませることも可能です

しかし、だからといって、任意整理に無理に固執した方が良いという訳でもありません。

任意整理は、簡単に言うと、弁護士や司法書士が、各債権者と任意の交渉を行い、将来的な利息をカットして、残債を3年~5年で返済する和解をしていく手続きです。

裁判所を通さず、気軽にできるという反面、借金があまり減額されないというデメリットもあります

ですから、自己破産と任意整理のメリット、デメリットを総合して考えつつ、かつ専門家に相談をしながら、決めていくと良いでしょう。

>>借金をどれだけ減らせるか調べてみる【借金減額シミュレーター】

まとめ

奨学金に連帯保証人がついている状態で、自己破産を行った場合、連帯保証人に対しては、まず、残債の全額が一括請求されます。

ただ、債権者の日本学生支援機構との交渉によっては、分割払いに切り替えてもらうことも可能です。

もし、直接交渉で難しい場合は、任意整理などを行って、分割払いにしてもらう方法もありますが、その場合は、信用情報機関に事故情報が約5年間、登録されてしまたうため、その期間中、連帯保証人の方は新たな借金ができなくなってしまいます。

また、連帯保証人も返済不能となって、個人再生や自己破産を行った場合は、次に保証人に対して請求が行きます。

その場合、保証人が「分別の利益」を主張すれば、支払いは請求額の2分の1で済みますが、そのことを知らずに、全額を払ってしまう方も多いので、注意が必要です。

いずれにせよ、連帯保証人が付いた奨学金の返済が残っている人は、自己破産が行った場合、どうなるか、様々な状況を想定しながら、自己破産以外の選択肢の検討も含めて、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めいたします。

>>個人再生をすると奨学金の連帯保証人はどうなる?