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自己破産 債権者 泣き寝入り

自己破産では、原則としては借金がすべて免責となるので、債務者にとっては、ある意味、非常にありがたい制度だと言えます。

ただ、その一方で、債権者は泣き寝入りになってしまうのでしょうか。

自己破産の手続きを検討している方の中には、債権者に対して申し訳ないと思ったり、場合によっては、恨みを買ってしまうのではないかと心配する方もいらっしゃいます。

ここでは、債権者が泣き寝入りにはならないケースや、債務者が自己破産をする前に考えておくべきことについてお伝えしていきます。

この記事を書いた人

借金減額研究家 ケンジ

以前、法律事務所で仕事をしていた立場から、借金問題や債務整理に関する記事を1000記事以上書いてきたライターです。

自己破産をすれば債権者は泣き寝入り?

自己破産をすれば債権者は泣き寝入りをするしかないのかという点に関して、結論から言えば、その可能性は非常に高いと言えます。

ただ、いくつかのケースで、最終的に債権者にお金が戻ってくるケースもあるので、決して、100%泣き寝入りをするしかないというわけでもありません

では、具体的にどんなケースに該当すると、債権者が泣き寝入りで終わらない可能性が出てくるのが、5つのパターンをお伝えしていきます。

債権者が泣き寝入りでは終わらないケース

保証人がついている場合

借金の中に、保証人や連帯保証人がついているものがある場合、その債務に関しては、自己破産で免責を受けても、債権者が泣き寝入りをすることはありません。

借金が免責された分は、債権者が、全額、保証人や連帯保証に対して、請求することができるからです。

>>自己破産をしたら奨学金の連帯保証人は分割?それとも一括請求?

もちろん、請求を受けた保証人や連帯保証人も自己破産をしてしまった場合は、債権者が泣き寝入りすることになってしまいます。

しかし、そこで保証人や連帯保証人が、きちんを返済をしてくれれば、債権者が損失を被ることはないのです。

債務者に一定の財産がある場合

債務者に一定の財産がある場合は、管財事件として扱われます。

そこで、債務者が所有している財産や現金は、最低限のものだけを残して、没収されます

その基準は、管轄の裁判所によっても異なりますが、東京地方裁判所では、20万円を超える財産や預貯金、そして99万円を超える現金などが没収の対象となります。

没収された財産や現金は、債権者に対して、配当金という形で、平等に分配されるようになります。

債権者にとっては、貸していたお金のすべてが戻ってくるわけではありませんが、多少の分は戻ってきます。

ただ、債務者が一定の金額以上の財産を持っていない場合は、同時廃止という形で、簡単に免責が認められて、債権者には一銭もお金が戻ってこなくなってしまうのです。

債権者が自己破産しようとした人を訴える場合

基本的に自己破産の申請が受理され、破産手続開始決定がされた後では、債権者が債務者を訴えることはできません。

しかし、逆の見方をすると、破産手続開始決定がされる前であれば、債権者が債務者に対して支払い督促を行なったり、強制執行という形で、債務者の給与や財産を差し押さえすることも可能なのです

債権者の中には、自己破産を何とか阻止しようと、早い段階で手を打ってくる人もいるので、その点では注意が必要です。

免責がされなかった場合

自己破産の手続きでは、免責審尋を行ない、免責許可がされるかどうかが決められますが、もし、債務者が、破産法252条1項で定められた免責不許可事由に該当してしまった場合は、免責がされない可能性も出てきます。

もし、免責が不許可ということになれば、免責がされなくなり、債務者は全額を債権者に対して支払わなければならなくなるため、債権者は、当然、泣き寝入りをする必要がなくなります。

ただ、実際のところは、免責不許可事由に該当した場合でも、債務者が裁判所に反省文を提出したりして、最終的には裁量免責という形で、免責が許可されてしまうケースがほとんどです

また、免責許可決定がされると、その内容が官報に掲載されますが、2週間以内に、債権者が不服・申立てを行ない、それが裁判所に認められた場合は、免責はされないということになります。

しかし、この点に関しも、債権者からの不服・申立てが認められる可能性は、ほとんどないというのが実情です

損害賠償で条件を満たしている場合

自己破産を行なって、借金の免責がされるといっても、場合によっては免責の対象外となる借金も出てきます。

その中の一つに損害賠償金があります。

といってもすべての損害賠償金が対象となるのではなく、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権のみ、非免責債権になることが、破産法第253条第1項で定められています。

具体的には、窃盗、詐欺、横領、暴力事件、死亡事件などが該当します。

もし、こういった悪質な不法行為によって損害賠償を求めている人は、たとえ、債務者が自己破産をしても、泣き寝入りをすることなく、請求権を維持することができるのです。

債務者がやるべきこととは?

自己破産をする場合、債権者が泣き寝入りをしないケースもありますが、それでも原則として、泣き寝入りをしてしまうことが多いというのが現実です。

ですから、自己破産の手続きをするにあたっては、債権者の気持ちを和らげるために最低限の努力はしていくべきだと思います。

反省は大切

自己破産では、すべての借金が免責されるからといって、したもん勝ちだと勘違いをする方もいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。

自己破産をする際に適用される破産法第1条には、

債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

ということが、明確に記載されているからです。

つまり、債権者が犠牲になってしまうことよりも、債務者が、普通の生活に戻れることを優先する目的をもって行われるのが自己破産だということです。

ですから、自己破産をする時には、債権者の犠牲を無駄にしないためにも、過去の生活をしっかり反省して、謙虚に今後の生活を改めていこうとする姿勢が大切なのです。

後で債務者に任意の返済を行なうことも可能

債権者が銀行や消費者金融などの法人である場合は、それほど、心が痛まないかもしれません。

しかし、個人から借金をしていた場合は、自分を信じてお金を貸してくれた人を裏切ることになってしまうので、そういった人を泣き寝入りさせることは、辛いと感じる方がいらっしゃるかもしれません。

もちろん、だからといって、自己破産の手続き中に、そういった債権者に対して個別に返済を行なうことは、債権者平等の原則に反し、偏頗弁済とみなされ、最悪の場合は、免責自体が認められなくなってしまうリスクも発生してしまいます

>>偏頗弁済はいつから?

ただ、免責が決定した後であれば、個別の債権者に対して、任意に返済することも可能です

ですから、どうしても迷惑をかけたくない債権者がいる場合は、後で個別に任意の返済をしていくことを考えても良いでしょう。

自己破産以外の方法も考えてみる

自己破産の手続きを行った場合は、すべての借金を対象にしなければならないので、迷惑をかけたくない債権者がいても、避けることができません。

ですから、そういった場合は、自己破産ではなく、任意整理の手続きで解決するのも一つの有効な方法です。

任意整理であれば、整理の対象となる借金を選ぶことが可能だからです。

ただ、任意整理の場合は、自己破産に比べると、借金の負担を減らせる度合いが減少してしまう傾向が強くなります

ですから、具体的にどういった手続きが良いかは、以下のようなサービスを使って、無料で診断してもらうのが良いでしょう。

>>借金をどれだけ減らせるか調べてみる【所要時間1~2分】

まとめ

自己破産をした場合、債権者が泣き寝入りをしてしまうこと多いというのは、ある意味、避けがたい事実とも言えます。

ただ、可能性は決して大きくなくても、債権者が泣き寝入りで終わらないケースもあるので、自己破産の手続きを行う場合は、その点を事前に抑えておくことが大切です。

また、自己破産は、単純に借金が免責になるという話ではなく、今後、生活を再建していくために、真摯になって取り組んでいく必要があります。

ですから、債権者に対して、誠実な対応を行なうためにも、必ず、債務整理に強い弁護士などの相談しながら、進めていくようにしてください。