※この記事にはプロモーションが含まれています。

自己破産 預金 引き出し

自己破産をする前に、預金口座からお金を引き出しても良いのか気になる方もいらっしゃるかと思います。実際、借金の状況によっては、預金を引き出しておいたケースが良い場合もあります。しかし、その一方で、引き出しをしても意味がないケースもありますし、下手に引き出すと大きな問題が発生してしまうケースがあるのも事実です。

実際のところ、どういった基準で判断すれば良いのでしょうか。そこで、この記事では、自己破産前に預金の引き出しをすべきケースと、しても意味がないケースについて、それぞれどういったシチュエーションが考えられるのか、徹底的に解説をしていきます。

この記事を書いた人

借金減額研究家 ケンジ

以前、法律事務所で仕事をしていた立場から、借金問題や債務整理に関する記事を1000記事以上書いてきたライターです。

自己破産前に預金の引き出しをすべきケース

まず、自己破産前に預金の引き出しをすべきケースについてお伝えしていきます。

凍結される可能性がある口座がある時

自己破産をする際、債権者の中に預金口座と関わりのある銀行が入っている場合は、弁護士から受任通知が送られた後、口座が凍結される可能性が出てきます。一度、預金口座が凍結されると、保証会社の代位弁済が完了したり、免責が確定したりしない限り、凍結が解除されなくなり、長い時は数ヶ月預金口座が使えなくなってしまいます。

ですから、このようなケースでは、受任通知が送られる前に、預金を引き出した方が良いということになります。(ただし、例外のケースもあるので、その点に関しては後述します)

>>債務整理をすると銀行口座が凍結?そこへ振り込みされると?

引き出したお金の使用目的は限られる

ただし、ここで気を付けないといけないのは、引き出したお金の使用目的は生活費や自己破産の費用などに限られるという点です。生活費がない時はしょうがありませんが、ギャンブルや浪費目的で預金を引き出して使ってしまうと、最悪の場合は免責不許可事由となる可能性もあります。

いずれにせよ、引き出した預金をどのように使ったかは必ずチェックされるので、弁護士に相談しながら進められることをお勧めいたします。

自己破産前の預金の引き出しは意味がないケース

しかし、その一方で、自己破産前に預金の引き出しをしても意味がないケースもあります。

20万円以上の預金口座を持っている場合

もし、預金口座に20万円を超えるお金が入っている場合は、自己破産前に預金の引き出しても基本的に意味がありません。

自己破産を行なう際、所有している財産や現金は以下の基準を満たしていれば原則として自由財産と見なされます。

  • 20万円以下の財産(預金・自動車・バイク・保険の払戻金など)
  • 99万円以下の現金

(他にも差し押さえることができない財産であれば、自由財産として扱われます)

ここで預金口座に20万円を超えるお金が入っていると、同時廃止事件ではなく管財事件として扱われ、裁判所に対して50万円以上(少額管財の場合は20万円以上)の予納金を支払う義務が発生してしまいます。さらに、20万円を超える預金は、全額が処分の対象となってしまいます。

そのような話を聞くと、自己破産申立て直前に、預金口座からお金を引き出して99万円以下の範囲に収めておけば、自由財産として扱ってもらえると考える人もいるかもしれません。しかし、このように自己破産前に現金化したとしても、引き出した現金は、現金ではなく預金として扱われてしまいます。

具体的には、自己破産の申請を行なう際は、裁判所から必要書類として

  • 家計簿(直近1~3ヶ月)
  • 預金通帳(過去2年間分)

の提出が求められるので、そこでお金の流れがしっかりチェックされることになります。ですから、預金口座に20万円を超えるお金が入っている場合は、自己破産前に預金を引き出しても意味がないのです。

>>自己破産をするとタンス預金の貯金分も取り上げられる?

妻の預金に移すことはNG<
自己破産前に預金を引き出す人の中には、妻の預金に移して、名義変更をしようとする人もいます。しかし、調査をすれば、元々はあなた名義の預金であることは分かってしまいますし、逆に財産隠しだと見なされることがあります

貯金を隠す目的で預金の引き出しを行われたと判断されると、免責不許可事由に該当して免責を受けられなくなる可能性が出てきます。悪質な場合は、詐欺破産罪で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処されるか、または併科される場合もあるのでご注意下さい。

>>自己破産をする時に貯金や通帳を隠すとどうなる?

自由財産の拡張が認められる場合も

しかし、その一方で預金の残高が20万円を超えていても、それが破産者の生活に必要不可欠だと判断された場合は、自由財産の拡張という観点で、裁判所から所有が認められることもあります。自由財産の拡張に関しては、破産法34条4項で明記されています。

裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

ただ、自由財産の拡張と判断されるかはどうかは、財産の状況だけでなく、管轄の地方裁判所によっても対応が異なります。ですから、必ず弁護士に相談されることをお勧めいたします。

>>自己破産に強い法律事務所&相談所

まとめ

自己破産前に口座の預金を引き出すべきかについて簡単にまとめると、

  • 凍結のリスクがある口座の預金は自己破産の依頼をする前に引き出した方が良い
  • 20万円以上の預金が処分の対象になるのを防ぐために引き出しても意味がない

ということになります。実際、財産を隠す目的で預金を引き出そうとすると、免責不許可事由に該当する可能性があるのでご注意下さい。

ただ、自己破産の前は、生活費がない可能性が高いですし、預金の引き出しをせざるを得ない場合もあるかと思います。また、仮に預金の残高が20万円を超える場合でも、自由財産の拡張という形で裁判所から保有を認められる場合もあります。

ですから、自己破産をする前、最終的に預金から引き出しを行なうかどうかは、担当の弁護士や司法書士によく相談しながら進めていくようにして下さい。